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【でも、ちょっとならいいかな?実はお腹が空いてね、死なない程度に味見くらいならいいかな。ふふっ。人間の血って濃厚で甘くて、それでいてヤミツキになるんだよ。】
ニタリと笑う者に女の子の顔が引き攣っていく。
「……………………え?い、ま。なんて、いったの?
人間の血?え、まって、味見って聞き間違いですよね。」
女の子は何かを理解したのか目から涙が零れていく。
「アタシ、死にたくない。……………………グスッ、グスッ。」
止めどなく流れる涙を手で拭おうにも、恐怖でうまく身体が動かせない。
泣いている女の子を見て、者は憐れみで見つめる。
【可哀想に。恨むなら、自分の人生に恨んだらいい。あの世界に関わる人間なんてイラナイんだよ。絶対にね。】
クラバラ、クワバラ。
俺は人間じゃなくて良かったよ、なんていて呟いている。
【さてと。】
ペロリと面白そうに舌を舐めずり、コツコツと足音を鳴らして女の子へ歩いていく。
「……………ひっ。お願いします、助けてください。見逃してください。なんでも………………」
近づいてくる者に、必死に懇願する女の子の次の声は悲鳴に変わった。
………………………ぎゃぁぁぁーーーー!!!!!
周りに響くような絶叫の声が響く。
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