【Temptation〜誘惑〜】

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広瀬先生と別れたあと、教室に戻る為に歩く。 頭から離れない、広瀬先生の言葉。 高校生は高校生なりの恋をした方がいい。 当たり前の言葉。 今の世の中は、歳の差と言う言葉に敏感だ。 ましてや、高校生が大人の人と付き合うのは下手したら変態扱いされる。 私はお兄ちゃんの事が好きだったんだろうか。 一人っ子で、あの独特の地域の雰囲気で、誰も味方がいなかった。 小さい私には、それが不思議で堪らなかった。 なんで、私に向けるの? まるで。 忌み嫌うような大人達の雰囲気に、子供達も気づかないはずがなかった。 小さい私に、説明をしようとしてもわからなかったに違いない。 それが例え、道を外していた行動だとしても。 でも、私は、もう子供じゃない。 あの時と違って物事がわかる年齢だ。 両親やハナお祖母ちゃんが必死になって隠していたもの。 そろそろ知る必要はあると思う。 それに、いい加減、わからない頭痛と記憶喪失にも開放されたい。 そうしたら変わるかもしれない。 あのお兄ちゃんの気持ちも。 恋だったとしても、初恋は叶わない。 昔からある言葉だ。 よし、今日、家に帰ったら相談をしてみよう。 「お腹空いた。」 そういえば、ご飯は途中だった。 やってしまったよ。 五時間目は体育だった。 大丈夫かなぁ。 今日の体育の授業、走り高跳びの実習なのよね。 お腹空いたまま飛べるかなぁ。 もともと高飛びとか、跳び箱が苦手な私。 走って飛び越える運動なんだけど、ジャンプをして飛び降りる行為が苦手。 水泳の飛び込みをして始めるのも駄目。 何、恐怖症と言うのかわからないけど、殆どか小さい頃の体験に来ている事があると言われている。 そんな体験をしたっけ? 不思議に思いながら教室へ戻っていった。
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