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グーーー、キュルルル。
やばい。本当にお腹空いちゃった。
お母さんからは弁当を作って貰っているから、お金は普段持ち合わせていない。
飲み物もお茶だし。
困った。
校舎の中へ入ると、慌ただしい生徒の姿が見えてくる。
昼休みの後に向けて移動する生徒達の姿なんだけど。
さっきの空気が嘘みたいに収まっていた。
あんなに異様に感じた女子生徒の視線。
この学校は住宅街にあるから、行事によるイベントの時、以外による歓声は禁止になっている。
歓声のクレームと言うのはあまり聞かない。
でも、中には気難しい人もいるから。
それを配慮するのが学校の役割。
かなり沢山の女子生徒が窓から、あの格好いい男性(ヒト)を見ていたにも関わらず声は聞こえなかったのだろうか。
中には悲鳴を出していた人もいたはずよね?
なのに、父兄らしい大人の姿が見えないし、外部からの野次馬もいない。
先生方が何か策略を考えたのかな。
じゃないと異様な女子生徒の雰囲気は、学校外からもわかるはずだけど。
普段と変わらない風景に首を傾けた。
きっと、先生方が考えたに違いない。
よね?
しかし、漫画では無いけど、実際にあそこまでの格好いい人っているんだなと改めて思ってしまった。
広瀬先生が話していた。
″大人″の言葉に足が止まった。
校舎内に入ると、玄関側に大きな鏡がある。
その側には学校の伝統文化の飾りや、それに伴うお決まりの露列入りの文字が額縁に入れられて掲げられていた。
鏡に向かって歩いていく。
どこからどう見ても高校生。
うんと背伸びをしたとしても、童顔の私には無理がある。
それに、ちらっと自分の胸を見る。
止むよう、虚しくなる。
高校生には高校生に相応しい恋愛がある。
かあ。
だよね。
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