【IRapid approach 〜急接近〜】

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【IRapid approach 〜急接近〜】

「あの、櫻井さん。私は本当にお腹が空いても大丈夫です。それより五時間目に間に合わないと。」 いけないんでは?と思う私と、女の子にしては力強い力で私の手首を掴み歩く櫻井さん。 滅多に見ない女の子。 本当に日本人形が歩いているような綺麗な人に、廊下を歩いている生徒達は櫻井さんを興味本位で見ている。 モデルのような綺麗な人。 歩くたびに、黒い髪の毛がサラサラと靡かせていた。 「あの、どちらへ行くんでしょうか?」 敬語で話かけた私の言葉に、歩いていた櫻井さんの足が止まった。 「同級生だから敬語は止めて。瑠花でいいわ!」 「はあ。」 強い口調で言われた私は恐縮してしまう。 そりゃ、そうだけど。 転入生しては、やけに落ち着いている。 転校ばかりしているから? でも、郷には郷に従えって言葉があるように、新しい土地に来たなら合わすように戸惑うと思う。 少なくとも私はしてきた。 あの人達に知られたくないってのが一番強かったから。 溶け込むにはおとなしく目立たないようにする。 そうする事で、お母さんを泣かせたくなかった。 無意識に考えている中、櫻井さんがボソリと小さく呟いた事は気がつかなかった。 【あそこならうってつけかもしれない。邪魔をされない為には、あの事をしなくちゃ。】 クスリと小さく微笑む櫻井さんに引っ張られるように来たのは。 ″━━━━━保健室━━━━″ と掲げられた場所だった。 「……………ほけんしつ?」 呆気に取られていたせいかカタコトな日本語で話してしまう。 「倒れたら保健室でしょ?だとしたら、ここが一番最適♪」 ニコッと微笑んだ櫻井さんは、保健室の扉を開けた。
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