【IRapid approach 〜急接近〜】

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だとしたら秘密の関係ってやつじゃないかな。 私、いていいのかな。 何故か怒っている感じの櫻井さんと、そこはやはり大人?な広瀬先生。 年齢差はいくつなんだろう。 わからない。 だって広瀬先生苦手だから情報が知らなすぎる。 夏穂ちゃんなら情報通かもしれないけどね。 でも、高校生と先生って漫画の世界だって思っていたから。 現実にいるかもしれないけど。 実際に見た事が無いから、こういった場合、どうしたら? あ、やっぱり黙認よね。 では、見なかった事に。 ただならぬ雰囲気から離れようとする。 が。 「水無月さん、動いて大丈夫?良かった!!顔色が悪いし、話しかけても無反応だったから心配したの。」 いつの間にか、身体を私へ向けていた。 え? にこにこと笑顔を見せる櫻井さんに言葉が出ない。 えっと。 こういった場合、どう対処すればよろしいのでしょうか。 顔が引き攣ってしまうのを、なんとか堪える。 「だ、大丈夫。大丈夫。」 何故、二回も言う、私!! 大事な事なのでしょうか。 うん、たぶん、大丈夫だから二回も言ったのよね。 この際聞いてみようかな。 私、口が硬いし(自画自賛)。 「あ、あの。」 おそるおそる櫻井さんへ身体を向けた途端。 ″ハナレナサイ、ダメ、チカヅイテハ″ 私の中の誰かの呼びかける声が聞こえてきた。 なに? また聞こえてきた。 なんなの? 「水無月さん?」 様子がオカシイ私を心配する櫻井さんの声が聞こえてくる。 これは本格的に病院へ行かなくては。 目眩のような貧血のせいか、幻聴が聞こえるだなんて。
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