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いろんな人々が歩いていく中、私も鞄を持ちながら学校へ歩いていく。
″昨日のアカメ見た?″
″うん、見たよ!!最後、まさか、あのパキパが勝つなんて驚いたけど。やっぱりだよね!!″
目の前に映る、ランドセルを背負った子供達の楽しい会話が聞こえてくる。
″うん、うん!!あったりまえよ。今、売れているんだから当然でしょ。″
一緒に歩いている隣の子供は、興奮しながらもどや顔をしていた。
何気ない会話なんだけど、声が大きすぎて後ろにいる私にまで聞こえてしまう。
昨日の、あのバラエティー番組の話だね。
ふふふと小さく思い出し笑いをする。
今、売れに売れているパキパが何やら歌を出すらしい。
その為にはチャレンジに勝たないといけないというバラエティー番組。
私も見たけど面白かったよね。
盗み聞きしてごめんなさい。と小さく目の前を歩いている子供達に心の中で反省する。
元気な子供達よね。
昔の私とは正反対。
ふいに思い出す遠い過去。
二度と思い出したくないあの過去だけど。
私には。
それをかき消すように、柔らかい風がふわりと私の髪を靡かせる。
小さい頃から伸ばしていた黒髪は腰まで伸びている。
靡かせた髪の毛の一房が肩にかかり、気づいた私は乱れを直す為に手で振りはらった。
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