7人が本棚に入れています
本棚に追加
その何気ない行動に、前から歩いてきた制服姿の男子生徒が顔を赤くさせる。
一目惚れをしたようで身体が固まっている。
それに気づいた私は心の中で小さく溜息をついた。
このように見られるのは慣れている。
………………小さい時から。
しかし、困った。
こういう時って、どういう態度をすればいいんだろう。
全く知らない人だけど、今の世の中怖いし。
だからといって、変に好意を見せるような思わせぶりな態度もね。
どっちがいいんだろう。
仕方がない。
再び心の中で小さく溜息をついた。
私を見る男子生徒へにこりと微笑む。
好意は無いけれど、睨むよりはいいよね。
すると茹でダコのように、ますます顔を赤くさせて、男子生徒はいそいそと足の歩くスピードを早めて去ってしまった。
通りすがりにチラッと見てはいたけど。
「結衣、見たわよ━━━━━━。」
後ろから元気な声が聞こえてくる。
顔を引き攣らせて、後ろを振り返る。
「夏穂ちゃん、おはよう」
ショートヘアーの似合う可愛らしい女の子が立っている。
明るい太陽のような笑顔をする女の子は、にやにやと笑みを浮かべながら私へと歩いてきた。
可愛らしい顔に似合わないような笑顔だ。
最初のコメントを投稿しよう!