7人が本棚に入れています
本棚に追加
「おはよう、結衣。」
にこっと可愛らしく笑う彼女は私の親友だ。
如月夏穂(きさらぎかほ)ちゃん。
眩しいくらいの笑顔をする夏穂ちゃんも可愛いのよね。
「結衣。ああいった場合は無視よ。他校の生徒だったから良かったけど。同じ学校だとしたら大変な事になっていたがもしれないんだから。」
私の隣に来た夏穂ちゃんは軽く溜息をつく。
「そっか。判断って難しいね。今の世の中って怖いじゃない?だから、どういう行動をすればいいのかってね。」
うーんと悩んだ私は夏穂ちゃんに提案を聞いてみる。
「なるほど。」
それも一理あるね、と夏穂ちゃんは頷く。
「でも、ストーカーになったら怖いじゃない。結衣は可愛いんだから、下手したらあり得るのよ?気をつけなきゃ。」
何故か頬を膨らませて、怒りながら話す夏穂ちゃんは、気をつけようね♪と二回も強調してくる。
私よりも夏穂ちゃんが可愛いけど。
その言葉は心の中に閉めておく。
「………………うん。ありがとう、夏穂ちゃん。」
シュンと俯いてしまった私を見て夏穂ちゃんは歩く足を止める。
ん?
「別にいいわよ。今日に限って、あの馬鹿が朝寝坊するから仕方なく結衣は先に行ったんだよね。もう和樹ったら。」
ふと顔を上げた私を見て夏穂ちゃんは苦笑いをした。
「そういえば、和樹君は?」
不思議そうに首を傾けると、更に夏穂ちゃんは困ったような顔をした。
「和樹ね、私が出る前に慌てて準備をしていたの。きっと遅刻ね。″なんで起こさなかったんだよ、馬鹿夏穂!!″なんて言っていたけど、遅くまでゲームしていたのがいけないんじゃない。全く、私のせいにしないでよね。」
ぷくりと頬を膨らませて怒る夏穂ちゃんに笑みが出た。
最初のコメントを投稿しよう!