7人が本棚に入れています
本棚に追加
/122ページ
序章〜Preface〜
久しぶりに現れた人は、小さい頃からみた記憶の中からは全然変わっていなかった。
真っ暗な闇なのに、空に浮かぶ月は満月の光が、やけに眩しくて、その人をまるで照らすように光っている。
例えるなら舞台の天井に照明器具があって、その人の為に光をあてているようだ。
、
明かりから照らされたその人は、私からしたら、絶対に触れてはいけない。
気軽に話しかけたりしてもいけない。
ましてや声をかけることも
まるで芸能人みたいだけど、芸能人じゃない。
傍から見たら完璧すぎるくらい綺麗だけど
でもその人は〝人間じゃないから〝
静かすぎる空間に柔らかい風が吹いてきた。
ふいにその人が小さく笑う。
その姿はあまりにも綺麗で、思わず見惚れてしまう。
小さい頃から変わらない姿に、少しだけ胸が痛むのは気のせいだろう。
何故なら、今はあまりにも冷たい目で私を見ているから。
すると。
コツコツ足音を鳴らして近づいてくる。
ふいに口が開き。
〝……………………俺と一緒に来るか？それとも別を取るか。決めるのは君次第だ〝
更に冷たい声で私の名前を呼んだ。
最初のコメントを投稿しよう！