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「おー、治ったか。お前の仕事、八重田がフォローしてくれてたぞ」
(八重田さんが? ……あとでお礼言っておこう)
小久保は席にいない。直行だとRainが来ていた。あれからたまにやり取りをしている。
「面倒だったら返事しなくていいから」と言われたから気が向いた時だけ返事をしているけど。
「八重田さん、ありがとね。仕事フォローしてくれて」
「いえ、治ってよかったです」
(ん? なんか顔色悪い? 気のせいかな)
それから数日後のお昼休み。
「あれ、八重田さん。具合悪いんですか?」
木戸ちゃんが心配そうに声をかけた。見ると八重田さんがあまり食べていない。
「うーん。なんか最近食欲なくて……風邪でも引いたかな」
愛想笑いでそんな風に返していた。
(あ……おめでた……?)
「もしかして、私に気使ってる?」
「え? な、何がですか?」
明らかに動揺している。
「ごめんね。気使わせちゃって。気にしないで。そこまで焦ってないから大丈夫」
「違います! そんなんじゃないですから! 妊娠していません!」
強い口調で返されてしまった。
「あ、なんかごめん。そうなのかなーって思っただけ」
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