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 2月中旬の設計施工会議の日。 「あー、ねぇ、今井くん。埼玉の風見くんってどんな子?」  会議が終わり、会議室を出ようとすると飛鳥さんからコソッと話しかけられた。 「風見くん? 施工のですか? うーん、自信過剰な部分はあるけど、まぁまぁ出来るヤツって聞いたことあります。風見くんがどうかしたんですか?」 「ここだけの話にしてほしいんだけど……風見くん、首都圏統括に推薦されてるみたいなんだよね。この間のこともあるから、小久保くんとトレードにしようかと思って」 (風見が首都圏統括で、小久保が埼玉?) 「あぁ、そうなんですね。小久保くんって入社9年目でしたっけ? 八重田さんと同期ですよね。風見くんは6年目……くらいだったかな。まぁ実力はどの程度差があるかわかりませんけどね。小久保くんとトレードだとかなり痛手かも……」 「だよねー。あー、困ったな。村瀬さんが抜けられちゃうのも、もっと大変なんだよね。八重田さんも何も教えてくれないし……どう思ってるのかやっぱり俺が聞かなきゃダメかー」  ため息まじりに言いながらエレベーターホールに向かう飛鳥さんに俺も続く。 「八重田さん、何も教えてくれないって……どういうことですか? 俺から彼女に話しましょうか?」
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