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「あー、違うんだよ。八重田さんは悪くないんだ。村瀬さんから何か聞いたら教えてほしいって軽く頼んだんだよね。俺が聞くとトラブルになると嫌だから。まぁ、密告するみたいで嫌ですって断られたけど」
(あー、そういうことか)
「今井くん、小久保くんとこの前飲みに行ったんだよね?」
「行きましたけど、飛鳥さんが聞きたいような内容の話はしてませんよ。村瀬さんとの馴れ初めっていうか……そんな話でしたから」
「そうなんだ。……あ、なんかごめんね。探るつもりはなかったんだけどさ」
苦笑いしてエレベーターに乗り、3階で降りた。フロアに入ると飛鳥さんは自分の席に向かう。
「お疲れ様でーす」
適当に挨拶しながら彼女の席に向かって歩くと「おつかれーっす」と、後ろから小久保の声が聞こえた。
振り返るとちょうど外出から戻った小久保が自分の席に戻ろうと俺の方に近づいてくる。
「おつかれ。あれから彼女と話できたの?」
小さめの声で話しかけた。
「あー……ちょっと、いーっすか」
フロアの外に促され、小久保と2人でエレベーター横の休憩スペースに移動する。
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