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「まさか、今井は八重田以外、興味ないだろ。どっかの誰かみたいに不特定多数と軽い関係にはならねぇよ」  わざとニッコリ笑う俺に施工の連中から冷やかしの声が飛ぶ。 (これは……結構な状況に追い込まれてるな。小久保も村瀬さんも)  この言葉だけでもわかる。 「不特定多数と軽い関係で何が悪いんですか? みんな言わないだけで願望もあるし、結構遊んでるじゃないですか。そんなくだらないこと言ってると、みんなの仕事手伝ってあげませんよ?」  施工の男たちを蔑むように笑い、軽く流す村瀬さん。 「うわ、嫌なヤツ」 「お前は本当にすげぇ女だよ」  呆れたように言いながらもそれ以上、誰も突っ込まない。 (あー、なるほどな。小久保の言う通りだわ)  小久保から聞いた村瀬さんそのものだった。 「ねぇ、おじさんとお話してくれない? あ、じゃー、琴音ちゃんも一緒に。ね? それならいいでしょ? キミ、本当に興味深い子だよねー」  尚もわざとらしく誘う俺に戸惑っている彼女。 「もう、どうしたんですか? 今井さん」 「もー、わかったよ。うるさいなー。行けばいいんでしょ? その代わり私はお酒、飲みませんよ。《何か》に悪影響があるとイヤなので」  村瀬さんが投げやりに言った。
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