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「そうだよね。あー……彼のためでもあるのかな『そもそもそんなに好きじゃなかった』って言ってあげられるもんね」 「だから……違うって言ってんでしょ!」  強い口調で俺の言葉を否定する村瀬さん。 「なに、そんなにムキになってるの? 当たってるからでしょ? 本当に違うんだったらどう違うのか説明して。俺が納得できるように、理解できるように説明してみなよ」  負けじと強い言葉で徹底的に追い詰めた。 「……期待したくないから。どうせ裏切られるから。どうせ……死ぬから」  俯いて小さな声でポツリと言う。 「言えるんじゃん。それが本心なんでしょ。……俺が言ったこともまあまあ当たってるよね?」 「……まあ。当たってる……かもしれませんね」  投げやりに言いオレンジジュースを飲んだ。 「さすがに俺もこれ以上は聞く気ないよ。なんか重そうだし。俺はこれで満足。……でも、もしかしたら小久保くんがその先に踏み込もうとするかもしれないね」  薄く笑ってコーヒーを飲む。 「ホント性格悪いですね。言わせるだけ言わせといて……アイツはそんなことしないですよ。今井さんみたいに詰めてくることもない」  小さく笑って言う村瀬さん。
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