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 内緒にする約束だし、それからは意識しないように仕事に集中した。  特に何事もなく日々は過ぎていき、1月下旬の今井さんの勉強会の日。 「お疲れ様でーす」 「お疲れ様です、失礼します」  今井さんと夏目さんがフロアにやってきた。私の横のミーティング用の広いデスクに座る。 「おつかれ」 「お疲れ様です」  今井さんとニッコリ挨拶を交わし、夏目さんにも一応挨拶をした。その後は今井さんも夏目さんも資料に目を通していたけど、今井さんがチラチラと小久保の方を見ている。 (やっぱり気になるよね)  小久保が徐に立ち上がってこちら側を向いた。 「なんっすか?」 「いや、なにも」  今井さんと小久保の目が合ってしまったのか、なんとも微妙なやり取り。私は一生懸命パソコンの画面を見た。 (私は何も知らないことになってるんだから、気づかれないようにしないと)  小久保はそのままフロアの出口に向かって歩いて行く。チラッと今井さんを見ると目が合ってしまった。お互い何とも言えない表情で見つめ合う。 「……勉強会始めまーす」  そのまま時間になり今井さんと夏目さんが休憩室に移動した。  それからしばらく経ち、定時が近づいた頃——。 「小久保、飛鳥さんに聞いてみたのか?」
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