07

7/18
前へ
/799ページ
次へ
 寂しそうに、消えそうな笑いを浮かべて遠くを見て……。本当にフッとどこかに行ってしまいそうな気がする。 「そこまでわかってるのに、何で今まで何もしなかったの?」  今井さんが静かに言った。 「あ……今井さん、アイツに話聞いたんっすよね。何か言ってませんでした?」 「いろいろ聞いたよ……でも、キミには教えない」 「は? アイツ……今井さんには話すんっすね。三井にはプライベートの番号教えて……何で俺には何も話さないんだよ。何も教えないんだよ!」  感情のままに言葉が出る。 「キミが聞かないからでしょ? 日和ってるんだよね?」 「なんっすかそれ……日和って何が悪いんっすか。それに、聞いても俺には答えないし……。前にも言いましたけど……今井さんにはわからないっすよ」 「わかるよ。彼女と話してわかった。聞いても答えないのかもしれないけどさ……それでも、少しずつでも詰めていかないと、こうなっちゃうんだよ。このままだと結局離れて行くかもね」  俺を見てただ静かに淡々と話す今井さん。何も言い返せず黙る俺にフッと笑う。 「大丈夫だよ。俺は愛する奥さんをおいて、自ら命を断とうとか絶対思わないから……そーゆーことでしょ。……あ、時間。勉強会、始めまーす」
/799ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5612人が本棚に入れています
本棚に追加