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 施工2班の班長が真面目なトーンで小久保に話しかけている。 「まだっす」 「なんかよくわかんないけど、早めに聞くだけ聞いてみた方がいいんじゃないのか?」 「そーっすよね」  珍しく小久保も真面目な感じだ。立ち上がり「飛鳥さん、今ちょっといいっすか?」と神妙な面持ちで飛鳥さんの元に来た。 「うん、なに、どうしたのー」 「あの……ちょっと聞きたいことがあって……例えば、例えばっすよ。社内で結婚すると、場合によってはどっちかが異動するじゃないっすか」 「あー、そうだね。同じ部署とか関わりが深い部署はね」 (もしや、これは……小久保、本当に社内結婚なの?) 「それって、籍を入れたら……っすよね?」 「え? どういう意味?」  怪訝そうな表情で聞き返す飛鳥さん。  そこでちょうど勉強会が終わり、設計の数人や今井さんと夏目さんが休憩室から出てきた。 「そのー、籍入れてなければ問題ないっすよね?」 「んー、場合によっては異動になるよ。それこそ今井くんが言ってたみたいに目に余るってなるとね。……言いたくないなら聞かないけどさ、何かあるなら早めに教えてほしいかな」 「いや、実は、その——」 「なんで余計なこと言うの?」
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