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 柔らかい表情でそんな言葉を残してその場を後にした。 (愛する人をおいて命を断とうとは思わない……ってことか? ……愛する人?)  今井さんは村瀬の話を聞いてさっきの言葉を俺にかけてくれたのだろう。その後、村瀬からの連絡を待ちながらも仕事をした。  勉強会が終わり、今井さんが戻るなり「連絡あったの?」と俺に聞く。 「まだっす」  そんな話をした直後。 「村瀬さんから電話です。3番」  どこからかそんな声が聞こえ、慌てて電話機の3番を押す。 「あ、村瀬です。すみません、何度も電話もらってたみたいで」  覇気のない村瀬の声が聞こえてきた。 「オマエ! なんで電話出ねぇんだよ! ……マジで……心配すんだろ? ってか、大丈夫なのかよ」 「は? え? 何で小久保?」 「オマエの番号変わってるからだろ? 三井に掛けてもらったんだよ。オマエさー、何で俺に番号教えねぇの? そもそも、俺に連絡して来いよ!」 「あー、忘れてた。ってかアンタの番号知らないんだよね。あっちの電話、水没させちゃって……もう必要もないし、いいやと思って解約したんだった」  あっけらかんと言う村瀬。
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