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クスクス笑い、柔らかい表情で俺を見た。しばらくして「琴音ちゃん、帰ろうか」とニコニコ帰っていく今井さん。
その後は仕事に集中し残業を終え、会社を出て村瀬の家に向かった。
途中、電話を掛ける。
「あ、俺。大丈夫か? 今駅着いたけど、メシ食った? 体温計以外になんか欲しいものあるか?」
「ん? あー、おつかれ。ってか今、何時?」
「20時過ぎ。なんか飲み物とか適当に買っていくぞ?」
「いーよ。遅いし……アンタ疲れてるでしょ? 家近いなら、うちはいいから、帰んな」
怠そうな元気のない声で言う村瀬。
「バカ。こんな時ぐらい甘えろよ。オマエ、その様子だと買いに行けねぇだろ。とにかく行く。じゃーな」
コンビニで体温計と冷却シートや食べ物や飲み物を適当に買った。スマホの地図を頼りに村瀬の家に着く。インターホンを鳴らすと玄関が空いた。
「寒いから早く入って。玄関鍵閉めてね」
マスク姿の村瀬が言うだけ言って部屋に入っていく。
(もうちょっと、感動とかねぇのかよ……まぁ、コイツに期待しても無駄か)
言われた通り鍵を閉め「入るぞー」と適当に言い部屋に入った。
ソファーに怠そうに横になる村瀬。
「オマエ、まさかここで寝てたんじゃねぇだろうな」
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