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「ほら、少しでもいいから食え」 「ん。アンタは? ご飯食べたの?」  ソファーから起き上がり、フローリングに座る村瀬。 「まだだけど……後で適当に食うよ」 「あー、カップラーメンならあるよ。私食べないからアンタにあげる」 「マジで? 食おうかな。いい? ここで食っても」 「うん、いいよ。遅くなると体に悪いし」 (なんだよ、俺のこと気に掛けてくれんのかよ)  少し嬉しくなりながらお湯を沸かす。その間もチラチラと村瀬の姿を見ていたが、食が進んでいない様子だ。お湯が沸きカップラーメンを作って、テーブルに運んで村瀬と一緒に食べる。  俺のラーメンをじっと見て「おいしそうだね」と言う村瀬。 「食う?」 「……いや、やめたんだよね。そーゆーの食べるの。……体によくなさそうじゃん?」 (前も言ってたな。……あー、それでか。野菜とかオレンジジュースとか) 「気にしすぎじゃねぇ? 食いたいなら食えよ。今は特に食べれるもん食べた方がいいだろ? ほら、やるよ」  思わず笑いカップラーメンを渡す。 「んー、じゃーちょっとだけ。あ……ねぇ、お皿持ってきてよ。アンタに風邪うつると嫌だし」  またしても俺のことを気に掛けてくれたことが嬉しくて口元が緩みながら、キッチンから皿を取ってきた。
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