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「妊娠してたらどーすんの? 病院の先生も、念のため妊婦さんでも飲める解熱剤だけにしておきましょうって言ってたし。あのね! 基本的に薬とか害になることはしちゃいけないの」  軽く怒られた。 (マジかよ……そんなに気を配らないとなんねぇの? 大変だな) 「でも、熱高いし、飲めよ。オマエの体の方が心配だっつーの。子供なんてできてるかわかんねぇんだし。妊婦でも飲める薬なんだろ? 気にしないで飲めよ」 「うーん。いい。明日も下がらなかったら飲む。……アンタ、もう帰りな。私このまま寝るから」 「……わかったよ。オマエの好きにしろ。どうせ言っても聞かねぇんだろ。鍵は? かけて帰るよ。合鍵あるんだろ?」 「いやだよ。渡さない。今出る? 鍵かけてから寝る」 「わかった。今すぐ帰るよ」  寒そうに玄関まで一緒についてきた村瀬。 「何かあれば連絡しろよ。明日の朝また電話する」  靴を履きながら言うと、後ろから突然抱きついてきた。 (え? は? どうしたんだ?)  今までこんなことは一度もない。あまりのことに動揺する。 「ありがと……レン」  たった一言小さくそう言った。
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