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「あと、昨日多めに買ってきてあるから何か食えよ? カップラーメンでもなんでもいいから、食って寝とけ。今日も仕事終わったら行くから」
ぶっきらぼうに言う小久保。
「来なくていいよ。もう熱下がってるし」
「いーから! もう切るぞ。そろそろ支度しねぇと」
「はいはい、じゃーね。行ってらっしゃい」
「……なんか、やべぇな。今の……すげぇうれしい。行ってらっしゃい……とか」
何気なく言った一言に、ニヤけたような笑いを含んだ声が聞こえた。
「バカじゃないの。気持ち悪い。早く支度して行きなよ。じゃーね」
電話を切る。
(なに喜んでんの? ……バカみたい)
「あ、おはようございます。村瀬です。班長いますか?」
9時が近づき、会社に連絡を入れた。
「変わりましたー。大丈夫か? 小久保から聞いた。熱まだ下がらないんだろ?」
「あー、はい。すみません。今日もお休み頂きます。月曜から出社しますので」
「わかった。……小久保、村瀬からだけど代わるか?」
(え……いーよ。さっき話したばっかりだし)
『あー、何かあったら電話しろって言っといてください。俺、もう出るんで』
小久保の声が遠くから聞こえる。
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