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「肉とネギだけしか入れてねぇけど……オマエ、肉好きだろ? まぁ、味は保証するよ。めんつゆだし。失敗するはずないもんな」
お椀に取り分けながら笑う小久保。
(なんで……なんでよ。やめてよ、もう……)
「こんなもの……作らないでよ」
「は? なにが? ……うどん、キライか? そんなことねぇよな。オマエ普通に食ってるの見たことあるし」
意味がわからない様子で聞き返してくる。何も言えず黙ってしまった。
「食わないならいーけど。俺が食うから。なんか別なもん食えば? おかゆとかカップラーメンあったよな……うま。普通にうまいけど」
特に気にも留めず食べ始める小久保。取り分けられたお椀の中にあるお肉入りのうどんをじっと見つめる。
「……ばあちゃんがさー、よく作ってくれたんだよね。飽きるほど……『ゆりちゃんの好きなお肉入りのおうどん作ったよ』って……」
なぜか言葉が溢れた。
「あのクマのぬいぐるみもそうなんだけど……なんで好きって言うとそればっかりになるんだろうね。大人になってからもクマのぬいぐるみばっかくれて……そんな歳じゃないっつの」
「へぇー。でもオマエ、クマ抱いて寝てるんだろ? そんなこと言って、ばあちゃんのこと大好きなんだよな」
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