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 思い出してまた体が疼いた。それを掻き消すように体を洗い流す。シャワーを終えると入れ替わるように小久保もシャワーを浴びに来た。 「オマエ、相変わらずの素っ気なさだな。普通もっとベッドでイチャイチャするだろ?」 「だから、どこの女と比べてんの? そういうこと好きな女と付き合えば?」 「オマエさぁ……まぁ、いいや。どーせ先帰るとか言うんだろ? ちょっとだけ待ってろよ。一緒に出るから」  話しながらも、すぐに着替える。 「わかった。いいよ、ゆっくりで。しょーがないから、待っててあげる」  ベッドに座り、ペットボトルの水を飲む。チラッとベッドを見るとさっきまでのことが頭をよぎった。 (……勘違いさせないでよ。どうせ気持ちなんてないくせに。バカ……)  浴室から出てきた小久保が着替えている。 「アンタさー、スーツちゃんと掛けときなよ。シワになるよ?」 「あ? いーだろ、別に。行き帰りぐらいしか着ねぇし。作業着のがよっぽどラクだわ。オマエ、スーツ着てるヤツより作業着のヤツのが好きなんだろ?」  ニヤッと私を見ながらスラックスに足を通している。
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