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「いや、別に作業着が好きとは言ってないよ。オシャレにスーツ着こなす男が鼻に付くって言ってんの。それよりは作業着で汗かいてる方が可愛げがあるって話」 「へぇー。じゃー、今井さんとか飛鳥さんみたいなのは嫌いなんだ」 「別に嫌いじゃない。……今井さんのあのテキトーな感じ、アンタと似てるよね。まぁ、今井さんはやる時はやるし、能力は全然違うけど」 「なんだそれ。俺だってやる時はやってるだろ? 俺も結構、優秀だって言われる方なんだけど。まぁ、あの人には敵わねぇけどな……。ん、行くか?」  小さく笑いながら身支度を整え、ドアの方に歩く小久保に続いた。ホテルを後にして駅まで歩く。 「明日、請求書どんぐらいある?」 「20……くらい。やっといてくれんの?」 「いーよ、今日のお礼。アンタ明日も現場から戻るの遅いんでしょ?」 「今日、俺が誘ったんだけど。へー、オマエも溜まってたのか。他の男とヤらなかったのかよ。何人もお抱えがいるオマエにしては珍しいじゃん」  ニヤニヤとわざとらしく笑う。 「別に? いつでもヤリたいし。たまたまアンタに誘われたからアンタとしただけ。……じゃーね」 「あっそ。気を付けろよ。おつかれー」  適当に声を掛け合い、お互い別の電車で帰る。
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