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 うそ……。本当はアイツが私にくれたことがうれしくて、アイツに見せるために着けてきた。 「んー、ムラっちのイメージ……ではない。でもさー、アレじゃない? それこそ八重っちのあのネックレスと同じで、溺愛系……なんじゃない?」 「えぇ⁉︎ 違うでしょ。違う! センスないんだよ」 (でもなんか、そんなことチラッと言ってたような……いや、わざと可憐なの選んだって言ってたし。違う違う) 「でもそれ、悪くねぇよな。村瀬もたまにはいいんじゃん? そういう女の子っぽいのも」 「あー。確かに……いつもジャラジャラして、イケてる女みたいな感じだけど、品が出た感じだな」  施工の男たちからコメントされた。 「うわ、うるせー。人のこと、とやかく言わないでくださいよ。私が好きな格好してるんだからいいじゃないですか。ほら、朝礼始まりますよ」  笑いながら言い、デスクを1つ挟んで隣の小久保をチラッと見る。 (なに、その顔……)  嬉しそうにニヤッと笑っていた。私と目が合うとそのままジッと見つめられ、思わず目を逸らした。    それから毎年のように「異動するかも」って言っていた春も過ぎて、現場に出るのが大変そうな季節の夏も過ぎ、ようやく涼しくなった秋。
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