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 私と小久保の関係は相変わらずだ。なんだか設計の管理部門がかなりトラブって施工にまでしわ寄せが来そうなヤバさ。図面の納期が飛んだらしい。八重田さんがかなり大変そうで、埼玉から今井さんが来た。  その日の夕方、藤島がやらかした。 (うわー、飛鳥さんめちゃくちゃ怒ってるじゃん。珍しい)  八重田さん達が飲みに行った後。 「なぁ、村瀬は? あの発言どう思ってんの?」  小久保が話しかけてきた。 「え? なんのこと?」 「女はすぐ辞めるってやつ。結婚とかさ……」 「私にその話題、振る? 相手もいないっつーの。まぁ、辞めないんじゃん?」 「へぇー。相手いねぇの?」 「いないでしょ? 知ってるくせに」  そんな話をしたりしながらも、冬が過ぎ、また春になった。5月初旬のある日。もうすぐ定時という時、今井さんがやって来た。 (あれ? 今日、会議じゃないよね? ……まぁ用事かな)  キャビネットの前で辻と八重田さんがなにやら危なっかしく箱を取ろうとしている。 「おつかれーっす。うわ、オマエ、大丈夫か? 俺が取ってやるからちょっと待ってろ。今、荷物だけ置いてくるから」
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