02

31/55
前へ
/799ページ
次へ
「何も隠してないよ。タクシーで帰れんじゃん。アンタと話なんてしても楽しくないし」  少し動揺する。 「そんな連れない事言うなよ……なぁ、いつから? 何で俺だけになった?」  まっすぐ見つめられ、思わず。 「……小久保とヤるようになってすぐくらいだよ。他の男とヤっても……楽しくなくなったから。ただそれだけ。……もーいーでしょ」  視線を外し小さい声で答えた。なんか照れ臭くて、もう嫌だ。 「へぇー。楽しくなくなった……俺とは楽しーんだな。俺とだけ楽しい。……それってさー……」  相変わらずニヤニヤと意味深に言葉を転がす。 「だから、もーいーよね。ただそれだけだって言ってんでしょ?」 「いいわけねぇだろ? 詳しく聞かせろよ。オマエ、俺のこと、どー思ってんの?」 (コイツ……わかってる。全部わかってて、こんな……)  いつの間にか柔らかい表情で私を見ている。愛情を感じるような目で。 「やめてよ、そんな顔で見るの。……わかってんでしょ?」 「なにが? わかんねぇけど……オマエ、ウソつきだし。素直じゃねぇし。可愛げねぇし」 「なにそれ。悪口ばっかりじゃん。ムカつく。アンタだって、デリカシーないし、乱暴だし、テキトーだし——」
/799ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5609人が本棚に入れています
本棚に追加