34

7/15
前へ
/799ページ
次へ
「ご想像通り、ビキニっすよ。最高でした」 「うわー、俺、旅行、絶対プールグループにしよう。村瀬さんのビキニ姿見たいし。凄そうだよねー。あの胸。スタイルいいよなー」  わざとらしく背もたれに背中を預け、横目で俺を見る。 「いーっすけど、俺の村瀬なんで、見るだけっすからね」   「腹立つなー。小久保くん、ホントいい子捕まえたよねー」  そんな風に言われ、悪い気はしない。 「ただいまー」 「あ、おかえり。ごめん、今から作る。アンタ定時だと間に合わないね」 「いーよ、まだ待てるから。惣菜買ってきてもいいんだからな」 「うん。わかってる。でも作ったやつのがおいしいんでしょ?」 「だなー。ユリの料理の味に慣れちゃうと、惣菜が味濃く感じるっつーか。コンビニ弁当も味気ないし……やっぱユリの料理がうまいんだよな」  お世辞じゃなく本心だ。 「なにそれ。……やめてよ」  そう言いながらも料理を始めた村瀬。 「あ、明日、料理教室行ってくるね。帰り遅くなるよ」 「わかった。また、うまいの食べられるのかー。楽しみだなー。……そういや、今週だからな、うちの実家。忘れずに準備しておいてくれよ?」 「うん、わかってる。……はぁー、気が重い。泊まるんでしょ?」
/799ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5637人が本棚に入れています
本棚に追加