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肉を炒めながらため息をついた。
「日帰りだとキツイぜ? どうしても嫌だったら近くのホテルに泊まるけど」
「とりあえずレンの実家に泊まる気でいるから」
「嫌になったら言えよ。無理する必要ねぇし」
俺としては実家に泊まりたい。あの賑やかな家が結構好きだ。
年に数回しか行けないから、のんびりしたい。と言ってもここ数年、正月とゴールデンウィークしか帰っていないから、お盆休みに帰るのは久しぶりだ。
次の日。
「ただいまー。今日はナスの味噌炒めとだし巻き卵だよ」
料理教室から村瀬が帰って来た。
「おかえり。マジで? 俺、ナス好きなんだよなー。焼きナスとか。だし巻き卵もいいな。……食っていい?」
「いーよ。お腹すいたでしょ? 急いで帰ってきたんだけどさ」
「急いで帰ってくることねぇよ。本当に腹減ったらなんか食うし。子供じゃねぇんだから、心配するなよ」
いつも通りおいしい村瀬の手料理を食べる。
「やっぱ、うまいな。ユリ、料理好きになったのか?」
「え? 別に好きでも嫌いでもないけど。……アンタがおいしそうに食べるから作ってるだけ」
何でもないようにキッチンで作業をしている村瀬。
(俺のため、か……。すげぇ嬉しい)
その夜は激しく愛し合った。
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