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「でも心配にはならないんだ。嫉妬もしないの?」 「あんまりないですね。同じ支店ってところは少し羨ましいですけど、夏目さんにはそういう感情ないです。今井さんもそんな気、全くないみたいだし」 「まぁ、あれだけ溺愛してくれてればね。八重田さんも満足か」  勉強会が終わった後、木戸ちゃんが八重田さんに泣きついて、またあの子と揉めていた。 「あの埼玉の子、なかなか面白れぇな。俺、結構好きだわ」  小久保がニヤニヤと周りに話しているのが聞こえる。 (やっぱり……別にいいけどね)  その後、また私のすぐ後ろから八重田さんと今井さんの面白い話が聞こえてきた。聞かないようにしたけど、この距離だとどうしても聞こえてきてしまう。八重田さんの「ママ」発言に驚きと少しの羨ましさがあったけど、それも気にしない。 (はぁー、幸せそうでなによりだ)  そう思っていたのも束の間、徐々に話の雲行きが怪しくなり、意外にもケンカみたいな言い合いになった。ケンカの内容はどっちの家に帰るか……みたいな感じ。 (もぅ、別々の家に帰ればいーじゃん。そんなに揉めるなら)  結構な揉め方をしてたけど、あっという間にお互い「ごめんね」「ごめんなさい」とか言って仲直りした様子。 (よくそんな素直に謝れるな……)
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