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 少し迷った様子だったけど、結局私がもらうことになった。チラッと小久保を見ると偶然目が合う。 「オマエ、あんなの受け取って、どーすんの?」  料理を取りに席を立つと、隣に立ちニヤッとわざとらしく聞いてきた。 「うるさいなー。たまたま飛んできたんだから仕方ないでしょ? 落とすわけにもいかないじゃん」 「うれしそーだったけど?」 「喜ばないと悪いでしょ? あの状況で……。いりませんなんて言えないじゃん!」 「へぇー、そーかよ」  どこか素っ気なく自分の席に戻っていく。  その後も2人を祝う幸せな空気の中、最後の挨拶になった。今井さんの挨拶もよかったけど、八重田さんの挨拶も……よかった。  あんな風にみんなの前で「彼をフォローしてあげてください」なんて、私には言えない。お互いが深く思いやっている様子がどこか羨ましかった。  それから1ヶ月ほど経った11月下旬。勉強会の日。いつもながら定時が近づいて埼玉のあの子と八重田さんの言い合いが始まる。今回はかなりデリケートな話題。子どもについて。 (ホントにこの子、デリカシーがないんだよね。なんでもペラペラ言っちゃってさ……どっかの男と一緒じゃん)  さすがに子どもの話題はマズいと思う。それなのにあの子が帰った後。
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