03

7/16
前へ
/799ページ
次へ
「とりあえず、この話はここまでにしよう。……ちょっと、いろいろと検討させてくれるかな。小久保くんも村瀬さんも覚悟はしておいて。状況的に、正直どうなるかわからないから」  飛鳥さんがため息まじりに纏め、それとなくみんな仕事を再開する。はぁーと項垂れ、どこか落ち込んだ様子の小久保。  とっくに定時は過ぎていた。 「……お先に失礼します」 「おつかれー」  納得がいかない様子で帰っていく夏目さんに普通の声色で返す今井さん。 「……琴音ちゃん、帰る? 俺、帰れるけど」 「帰りましょうか、お先に失礼します」  パソコンの電源を落とし、帰る支度をする。チラッと村瀬さんに目を向けると何事もなかったかのように仕事をこなしている。どことなく気まずい空気のフロアを後にした。 「夏目さん、大丈夫ですか?」 「ん? 大丈夫じゃない? それよりさっきの、すげぇ驚いた。セフレとか、できちゃった結婚とか……俺も話についていけなかったよ。まさかそんなことになってたとはねー。飛鳥さん、大変だな」  家に帰る途中でさっき聞いた話になる。 「本当ですよね。私もすっごく驚いた。小久保、何やってんだろう。ちゃんとしないとダメだよ。村瀬さんが可哀想」 「あの2人、大丈夫なのかね? おじさん、ちょっと心配」
/799ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5610人が本棚に入れています
本棚に追加