03

11/16
前へ
/799ページ
次へ
「……好きなんですよね? 小久保のことが。セフレだったのかもしれないけど……村瀬さん、本気で好きなんですよ、きっと。だから子供産んであげようって思ったんですよね」  思わず会話に割り込んでしまった。 「え、そうなの? ムラっち。じゃー小久保が悪いんじゃん。ちゃんと付き合わない小久保が悪いよ」 「いや、それは……その。まぁいーじゃん! 小久保が悪いわけでもないし。いろいろあるんだよ。いろいろ!」 「だめ! これでも一応ムラっちのこと心配してるんだよ? 本当に子供作って結婚するつもりなの? 今でもその気持ち変わらない? あとで後悔しても遅いんだよ?」  口籠もりながら話を切り上げようとした村瀬さんに、食べるのをやめて真面目に語りかける三井さん。 「あ、あの。このタイミングでこんなこと言うのも何なんですけど……実は飛鳥さんに『村瀬さんが何か言ってたら教えてほしい』って言われていて。密告するみたいで嫌だからって断ったんですけど……」 「いーよ。八重田さんの好きにして。今さらだし。飛鳥さんに言いたければ言っていいよ。ただ小久保には言わないで。三井さんも……アイツには余計なこと言わないで? お願い」  静かに私と三井さんを見る。 「わかった。言わないよ」
/799ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5611人が本棚に入れています
本棚に追加