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「やっ……た……」
私はメールの文面を、何度も何度も目で追いながら、小さく呟いた。
『是非ご検討ください』、なんて文末の締め、私にはなんの検討の余地もない。
すぐさま返信のメール文書を作成し、快諾の意をしたためる。
「この度はご連絡いただきまことにありがとうございます、原作『恨巫女ちゃん恨ミますッ!』は、連載当初から応援しており、今回製作されるアニメ主題歌のアーティストとして関わらせていただくことを、大変光栄に思います。打ち合わせ日時等決まりましたら改めてご連絡の方よろしくお願い致します」
頭をフル回転させて、なるべく相手に失礼の無いような文面を心がける。
ここで少しでも、原作者のイヲ先生や、アニメ製作に関わるスタッフの方々に悪印象を持たれ、この依頼がたち消える事だけは絶対に避けなければならない。
私は繰り返し繰り返しメールを読み返し、震える手で送信ボタンを押した。
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