華やかな結婚式

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 披露宴を終えた璃空と叶衣は控え室へ戻り、ふうっと息をつく。着替えを済ませて家族に挨拶をする。未だに泣いている叶衣の両親にお礼を言って、璃空の親戚とは翌日改めて一緒に食事をしようということになった。  2次会まではまだ時間がある。そう思っていても2人で話始めれば時が経つのも早い。 「ねぇねぇ、あの動画なんだったの!? 凄かったね! DVDもらっちゃった!」  嬉しそうな叶衣。披露宴の様子もDVDとしてもらい、思い出がたくさんできたと喜んでいた。  笑顔も泣き顔も驚いた顔も、表情豊かな叶衣をたくさん隣で見ることができて大満足の璃空は、叶衣以上の幸せを噛みしめながら2次会の準備を進めた。  蓮と七海、璃空と叶衣の結婚式は無事に終わり、どちらも華やかな結婚式となった。  2次会に駆け付けたメンバーも多く、地元の友達は子供を一旦夫に預けてから参加するなど、忙しない中でも2人を祝福した。  瞳は夫の博光と参加していた。 「竹中課長! お久しぶりです!」  叶衣が笑顔でお酌する。博光は苦笑し「もう課長じゃないから。よかったな、いい人に出会えて」と言った。 「はい! 私、竹中課長と瞳さんみたいな夫婦になりたいです」  お互い支え合って、入籍から7年経った今でも仲の良い2人を羨ましく思うのは叶衣だけではない。しかし、それを本人達に素直に言えるのが叶衣である。  博光も瞳もいい部下をもったと優しい気持ちになれる。一緒にいる璃空も瞳に頭を下げ、「先日はありがとうございました」と言った。 「肉体美の旦那に会わせなさいよ!」  1ヶ月前、そう笑いながら言った瞳にようやく璃空を紹介した。今や2人で住んでいるマンションに呼び、璃空の手料理を振る舞ったのだ。 「ああ、瞳さんだ」  璃空は瞳の顔を初めて見て、天使のような笑みを浮かべた。  度々叶衣の口から聞くようになった瞳さん。全く他人に関心がなく、瞳の存在も一々誰? と聞いていた璃空だったが、今ではすっかり定着し、ようやく顔を見ることができた。これが、瞳さん。そう思ったら叶衣に向けるほどの満面の笑みがこぼれて思わず瞳の胸まで痛くさせた。 「あ、あんた……あれは単純に恋患いのせいじゃないかもしれない。とんでもない男を捕まえたもんね……。イケメンより美人って言ってた意味がわかった気がするわ」  そう言っていた瞳。 「なに言ってるんですか。竹中課長を射止めた瞳さんには勝てませんよ」  全女性社員が羨むほどの相手を夫に迎えた瞳。それがまた夫婦円満ときたものだから、叶衣にとっては上司でありながら、妻、母としての先輩であり目標でもあったのだ。  そんな憧れ夫婦にも挨拶を済ませ、2人の2次会は更に盛り上がり、ゲストにとっても楽しい一時となったのだった。
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