尻拭い? いやいや、略奪です

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「ああぁぁっ! やぁだ! そこ、やだぁ……」  泣き出しそうな声で叫ぶ叶衣。ゾクゾクっと璃空の全身に鳥肌が立つ。舌を動かしながら、曲げる指の速度も上がる。 「やだ、やだ! あっ、あっ、璃空! りくっ……待って、やめて! やめて!」  あまりにも叫ぶものだから、一旦指を止めて叶衣の顔を覗く。涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら、唇を震わせている。  そんなに嫌だったの?  璃空は不安でいっぱいになりながら「痛い? 怖い?」と尋ねた。  叶衣がぎゅっと目を閉じると、涙がまた1つポロリと落ちる。 「怖い……」  そう言われて璃空の中で罪悪感が顔を出す。  叶衣が怖がるならやめようか。  しかし、その刹那。 「こ、怖い……こんなに気持ちいいの、知らない……」  はぁーっと息を吐きながら、泣きながらも瞳は熱を帯びている。  前言撤回。続行確定。 「それ、大丈夫なやつ」 「へ!? ちょっ、やあぁぁ!」  同じように刺激を与え始める璃空。  なに、あの顔……。ヤバかった、ヤバかった。射精(でる)かと思った!  璃空の興奮もMAXである。  なんで七海と寝れたの!? あの顔見られて、名前呼ばれて、なぜ七海を抱けた!?  わかんない、わかんない。俺には全っ然理解できない!  ドッドッドッと璃空の鼓動が加速する。攻めれば攻めるほど、叶衣が可愛く見えて、蓮が浮気した理由が全くわからなかった。  いつの間にか、指のスピードも上がっていて、叶衣の甲高い声が響く。  指をぎゅーっと締め付けながら、どくん、どくんとうねる。舌先を離してみれば、ひくん、ひくんと痙攣している。 「やぁだ……りく……」  ずびずびと鼻を啜っている音がする。璃空がそっと足の間から顔を覗けば、頬を赤く染めてはっはっと息を切らし、汗だくになっている。  か、かわ……い。  思わず濡れていない方の左手で口元を覆う璃空。  よかった。無理にでも押し倒してよかった。  璃空に全くの後悔はない。  セックスに対して淡白だった璃空。そもそも他人に興味がないのに、他人の悦ばせ方など知らない。ただ、相手が求めてくるから。そんな理由でしかセックスなどしたことはなかった。  年上の恵里菜は、そんな璃空に「そうじゃない」「そこじゃない」「もっと速く」「もっと吸って」「もっと奥!」とあーでもない、こーでもないと指南した。  ここまでしないと女は悦ばないのかと思うと、尚更女嫌いになりそうだった。  ただ、こんな叶衣の姿を見せられたら、恵里菜に感謝しかなかった。
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