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「では、あなたが行っていることは成功報酬型の仕事ということですね。仕事を始めた理由はなんですか?」 私は記者だ。 目の前には今世間から大バッシングを受けている皆川静香がきれいな顔に微笑みを浮かべて座っている。 彼女はまったくの他人から遺産を受け取った件で親族から詐欺で訴えられている。 そのことが報道されるやいなやSNSをはじめネット上で大炎上した。 彼女は、死を目前にした人への奉仕であり、自分から要求したことなどないと主張している。 「私はただ、死の手前にある安らかな生をお手伝いしているのです。自分が死ぬと分かった時、人は誰しも過去を振り返るものでしょう?」 彼女の返答は柳に風といった様子でテレビで見たそのままだった。 当初私はどうにか彼女の鼻を明かしてやろうという意気込みでこの取材に臨んだ。 しかし、取材が進むにつれて私はどんどん彼女の魅力に引き込まれていった。 「あなたはなぜ記者に?」 「真実を世に出したいという一心でした。世の中腐っているのです」 皆川に笑いかけられながら話をしていると失いかけていた、もしくは忘れていた過去の情熱や希望を取り戻すことができた。 数時間後。 「本日は取材をお受けいただきまして、ありがとうございました。これは謝礼です」 ベッド横の引き出しから封筒を取り出し、皆川に渡す。 皆川が部屋をでるのを見送り、満足感で胸を満たした私はそっと目を閉じた。 病院を背にした皆川は手元の手帳に丸をつけ、次の予定に向かうのだった。
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