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プロの殺し屋であるメフィストがターゲットを仕損じたのは、邪魔が入ったためなのだがそれをエレノアは知らない。
「って言うか、いつまでそんな恥ずかしい格好してるんだよ。ほら、終わったら帰るぞ」
メフィストはそう言いながら、剥き出しになっているエレノアの肩に着ていた隊服のジャケットをかけた。
「うわ、生暖かくて気持ち悪い。自分の着てた服を掛けるとかキザすぎるでしょ」
「お前は人の親切も素直に受け取れないのかよ!」
「なに親切とか言ってるんですか。似合わなすぎですね」
会話をしながら、二人は動かない肉塊となったターゲットをワイヤーとナイフで切り刻んでいく。
血の海にはバラバラの肉片が浮いていた。
「地獄で己の罪を後悔しながら、鴉の餌にでもなってくださいねー」
エレノアがふふっと小さく笑った。
その声も男だったモノには届いていない。届くはずがない。
――裏切り者には報復を。
マフィアの鉄の掟だった。
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