僕の欠片 2

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ある時、いもじゃとの関係が親にばれた。親の避妊具を持ち出していたのが発覚したのだ。 1ダースも無くなっていたので、相手を追及されたが、僕は何も言わなかった。 弟の誠人がよく分かっていない癖に、僕がいもじゃと一緒にいるとバラした。 男同士だったし、同性に発情する息子は見たくないという勝手な親フィルターのおかげで疑いのまま解放された。いもじゃに会うなという制約付きで。 学校で会うとこっそりメモを渡し、落ち会う場所を決めた。 よく分からない関係から始まった自分たちの関係は、まるで悲運の恋人同士みたいだ。 肌の触れ合いや、快楽を覚えたばかりの身体に、触れ合えないというのはかなりの責め苦だった。忍び逢い、逢瀬を繰り返した。 遂に二人で一緒にいるところをうちの親に見つかってしまった。 別にまずいことはしておらず、ただ一緒にいて二人の距離が不自然に近かっただけだ。 自分はともかく、いもじゃが責めたてられた。 ここでも親フィルターが発動していた。   うちの子どもが誘惑するはずがないと。家庭環境が悪い家の(いもじゃ)に誘惑されたんだと。 親も本家の威光をかさにきていた。いもじゃには本家のご威光なんて関係ないのに。 自分も過去にいもじゃに同じことをやったのに、他者の行為は愚かに見えた。 親の罵声に我に返ると親がいもじゃをつるし上げている。 誘惑して汚らしいと罵ってる。 違う。誘ったのは、いや、嫌がるいもじゃを行為に引きずり込んだのは僕だ。 自分がいもじゃに惹かれたから。 いもじゃは悪くない。 何も言えなかった。 涙が出てきて何も言えなかった。 いもじゃは何も悪くないのに。 いもじゃも泣きそうだ。 僕を見て助けを求めている。 僕は親が怖くて、状況が怖くて何も言えなかった。 母親のうちの子に近づかないでという怒鳴り声が聞こえた後は記憶がフェードアウトしてしまい、事件のその後について僕は何も覚えていなかった。
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