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「本日は、世界に誇るグルメガイドブック『孤高の料理人inジャパン』で、二ツ星を獲得した高橋秀彦シェフに、リモートでお話を聞きたいと思います。よろしくお願いします」
『よろしくお願いします』
「まずは、二ツ星獲得おめでとうございます」
『ありがとうございます。まさか星を貰えるなんて思いませんでした』
「ご謙遜されてますが、食通の間では高橋シェフは有名で、今まで星を獲らなかったのが不思議だって聞いてますよ。お断りしていたわけでもないんですよね」
『勿論です。どんなお客様でも、当店に来ていただけるなら最高のおもてなしをさせていただきます』
「でも高橋シェフのお店は、所謂「隠れ家」的なお店で、看板もでていなくて、なかなか見つけるのが難しいんですよね」
『そうですね。あと移転も多いので、見つけづらいとは言われますね。でも、逆に見つけるのが楽しいとおっしゃってくださる常連の方もいらっしゃっるんですよ』
「最初は普通に看板も出してるビストロだったとうかがいましたが。どうして見つけづらいお店にしたんですか?」
『僕が独立したあとにお店に来てくださったお客様に、料理は美味しいけど、今一つ店としての売りがないねっていわれてしまって。店自体はそれなりに繁盛していたのですが、ずっとそれが引っ掛かっていて……料理には自信があったので、それなら、いっそ「見つける」というゲーム的要素を入れてみようかと思ったのがきっかけですね』
「そこから看板をなくしたんですね」
『あと、移転もしましたね。わざと分かりにくいところに。お店のホームページに住所でなく、住所のヒントだけ載せたんです』
「随分思いきったんですね。誰もこれないんじゃないかって不安はなかったんですか?」
『ありましたね。我に返って頭を抱えたこともあります。ですが、意外と皆さん来ていただけて。それも「見つけてやったぞ!」って顔で来られるんですよ』
「でも確かに、見つけられると嬉しいですよね。しかもそこには美味しい料理が待ってるわけですし」
『そうなると、僕の方にも火がついちゃって。次は誰も見つけられないところに移転してやるって……』
「ビストロですよね」
『そうなんですけど……だから、お客様がこなくて採算とれなくなった!! ってなったら、僕の勝ちなわけなんです。そしたらちゃんと看板出して普通のお店に戻ろうと思ってるですねど……』
「勝ちなんですか……?」
『僕のなかでは勝ちなんです。料理の味は自身がありますので。……でも、ありがたいことにどこに移転しても見つけてくださる方や、僕の店のことを知って挑戦してくださいる方がいらっしゃるので、当面、このままですかね』
「一応、ルールがあるんですよね」
『はい。
店名は変えない。
日本国内からでない。
特定の人しか入れない場所には開店しない。
ということでやってます』
「そうなんですね。実は今回、我々取材陣は無念にもアポイントをとった日時にお店に辿り着けず、このようなリモートでのインタビューとなった事実をお伝えしておきます」
『興味のある方は、どうぞ当店ホームページにあるヒントを頼りに、お店を見つけてみてください。ご来店お待ちしております』
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