夢を奪う仕事

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「例えば、幼稚園児くらいの頃って、女の子の大半がアイドルになりたがりませんか? ああいう、わかりやすく周りにちやほやされる役どころには、幼少期は特に憧れがちだ。でも自分もああなれると信じ込めるのは、自分の容姿レベルを客観視できない年齢ゆえです。歳を重ねるにつれ、自分の容姿を周りのそれと冷静に比べられるようになり、自分のレベルがわかってくる。そして大半が、そんな夢は口にしなくなりますよね」 「……はい」 「それと同じです。要は、自分のレベルをわからせてあげることが重要なんです。そのためには、天才少年少女と引きあわせるのが一番わかりやすい。……それで上手くいかない場合は、また別の手段があるんですけど」 「……そうなんですね」 「ま、協力してくれる親がいれば、そんなの関係ないんですけどね。財力や権力もあれば最強です」と付け加えられた言葉が、ちくりと胸に刺さった。心当たりがありすぎたからだ。 「仕事の大半は、そういうのばかりです。なんでも屋みたいな面もあるんで、イレギュラーな仕事もありますけど。夢を奪うってコンセプトは、一貫してますね。……と、すみません、僕の話ばかり長々と」 「いえいえ、すごく新鮮なお話でした」 「ヒトミさんは、今大学四年生でしたっけ」 「あ、はい……」 「来年からは何をやられるんですか?」
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