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「─と、まあ…そんな感じでこの会社が出来上がったんで、誰かの為というより自己満足に近かったんですよ。」
雑誌の取材という事で今までの経緯を思い出しながら、彼女が公にしていない事とかあまり言わない方が良いような事で話していない部分も勿論あるけれど、そうして記者の方に話した。
「え、じゃあ奥様である『Gardenia』社長の鈴華さんとは会社設立の時はお付き合いもされていなかったんですか!?」
「そこ聞くんですか!?」
「すみません、気になったもので…。」
「あー…。確かによく言われるんですよね。こうして夫婦で、ある意味同じ会社を創ってきたものだから結婚前提でいたんじゃないかとか。でも、ずっとお互い意識せずにきて、ある程度会社が成り立って余裕が出てきた辺りに俺からそれっぽい事言ったんですよ。」
「そこ詳しくは…。」
「それは言えませんよ。二人の秘密です。」
にっこりと笑ってその質問はあしらった。
「それより会社の取材なんですから、もっと会社の事を話させてくださいよ。ここには沢山の素敵な考えの人がいるんですから、たった数時間で語るには全然足りませんので。」
世の中には偏見や色んな壁があるけれど、この会社ではそれらを個性や夢、そういうキラキラしたものであると皆が思えているから成り立っているんだ。
それは俺だけじゃ創り上げることの出来ないものだから、しっかり一人一人の事を見てほしい。
それが俺の会社で、俺の仕事だ。
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