株式会社ネバーランド

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けれど、夢を叶える事には色んな種類の壁がついてまわるらしい。 年齢、お金、身体的・精神的な都合、学歴、家庭環境… どれも大切で、必要なんだと分かる。 でも本当にそれら全部が無ければ叶わないことだらけなのか? 別に一人がそれを持っていなければいけない訳じゃないはず。 そんな完璧人間この世に数えるほどしかいないだろうから。そもそも居ないかもしれない。 もし、俺が彼女の夢を叶えられる力があるのなら…。 ─いや。むしろその力を付ければ、使い方を考えればいいのではないか? 俺には彼女に無いものを補える要素は幾つかあるのだから。 社会人としての経験と、挫折。 その代わりに得たお金もまだある。 未だに彼女ほど仕事への熱意は無いけれど…。 俺は仕事を辞めてから、また正社員で働くことを拒んでいた。 正社員でなければいけないという世の中の決まりが縛るせいで、やりたい事のない俺は手探りで仕事を探してどうにか就職できたものの結局壊れてしまった。 じゃあ次の仕事。 …なんて出来る訳も無く、仕事をするという事に怯えて周りにはそんな素振りを見せずに取り繕っている。 そんな俺も社会不適合者の一人。 なんだかんだ今日彼女にその事を言うことが出来ずにいたけど、俺だってそんなものだ。
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