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「病気が分かった時、薬の治療も言われて、でも病巣がはっきりしているから手術をって言われて。心の整理がつかないまま入院したりで学校にも通えないから、その間なにも学べなくて─」
多分彼女は病気でショックを受けながらも、ずっと夢見てようやく学べていた事が急になにも出来なくなったことにも焦りを感じていたんだろう。
でも、彼女なら復学を選ぶんじゃないのか?
その疑問を抱きながらも彼女の話を遮る事は出来なかった。
「『子供に着せたい服』がコンセプトとか言っておきながら、自分では子供をもてないかもしれないって…。」
その言葉に引っ掛かって思わず口を出してしまった。
だって、あの時言ってたじゃないか。
「え、でも、山里さんあの頃「『子供』といっても自分の子供だけじゃなくて、子供の頃の自分や友達の子供とか世界中の『子供』に向けて─」って、そう言ってたじゃん。自分で産めなくても…」
それ以上は言えなかった。
言うべきではない事だと分かっていた筈なのに…。
酷く傷ついた顔をしているのを見て、言ってはいけない事を言ってしまったと視覚的にも痛いくらいに理解した。
言った言葉はもう戻らない。
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