株式会社ネバーランド

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「自分でバイトしたり働いて、お金を貯めてまた通いなおすっていう手はありますよ。 でも、その頃には私と同じように学んでいた子達はすでに働いて実践でより深く学んで経験を積んでる。ただでさえ大学に通う道を選んで社会人になるのが専門の人たちより遅れることになっていたのに、これ以上遅れるとか…。」 『そんなの出来ない。』 そう聞こえた気がした。 夢が折れる瞬間とはこういうものなのだろう。 だから、俺は夢を見てこなかったんだ。 それなのにどうして俺は彼女と一緒になってそれを悲しんでいるんだ? こういう時なんて言葉を掛けるのが正解なんだ? 夢を追っていた人が崩れた時に掛けるべき言葉は知らなかった。 自分自身が夢を追ったことが無かったからかもしれない。 だから彼女に取り繕った言葉で慰めることも出来ず、なにか良い事を言える訳でも無く、嘘の言葉を並べ立てることすらも思いつかずに黙り込んでいた。 「ごめんなさい…。」 俺の沈黙に耐えきれなかったのか彼女はそう言って席を立ち、帰って行った。 それに対して俺は追いかけることも無く、彼女が置いて行ったご飯代を暫く眺めていた。 子供を産むことも、ブランドを立ち上げることも、全部を含めたのが彼女の夢だと知っていたのに。 どうしてあんな事言ってしまったんだろう。
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