1298人が本棚に入れています
本棚に追加
<現実との遭遇>
ラブホテルが立ち並ぶホテル街の一角にある元気堂書店。
椎崎悠歩(しいざきゆうほ)は書店の中を迷うことなく奥へ進んでいき、カーテンをめくると二階に上がる階段がある。
階段を上りきった所にあるカウンターの男性に向かって「こんにちは!新商品のサンプルを持ってきました」と、声を掛けた。
すると、声を掛けられた男は
「椎崎君、どうぞ」
と、カウンターのその先にある事務所兼倉庫へ誘導する。
悠歩も慣れたもので怪しげなモノが積み上げられている通路を抜けて声を掛けた男性の元に辿り着いた。
ここは1階はいたって普通の書店であるが、
二階にはいわゆる大人のおもちゃや、コスプレグッズ、DVDなどが所狭しと置かれている。
悠歩はゴムメーカーの営業でこの店には新作のスキンを売り込みに来ていたのだ。
声を掛けた男性はこの書店兼アダルトショップの店主でにこやかに振り返りながら
「あのぶつぶつのやつ、一回使ってみようみたいなノリで結構でてるよ」
「そうなんですか!今日はそのパワーアップしたのを持ってきました!!」
「ラブイボMAX-HOTです」
そういうと悠歩はサンプルを見せながら
「先にはHOTジェルがついてますので挿入時はスムーズに、奥に入ると、らせん状についたドットによりほどよく刺激がくる感じです」
「へぇ~、椎崎さん使ったことある?」
いきなり振られて
「あ・・・いえ・・」と言いよどんでいると
「じゃあ今度一緒に使ってみる?」
どこまでが本気でどこまでが冗談かわかりにくいお誘いを受けたが
「あ・・・いえ・・いや・・ははは」とごまかしてみた
そうだよな・・使ったことが無いというかゴム自体を使ってないよな・・・
悠歩には4歳年下で20歳の大学生の誠という恋人がいる。
友人との飲み会でその友人の友人というのも合流し、さらにその弟が二十歳になったということで飲み会デビューとして同席していた。
なんとなく盛り上がって「男試してみる?」的なノリで誘ったらそのままホテルへ直行パターンでそれから付き合っている・・・
というか
たぶん恋人だと思っているが
正直、自信がない。
最初のコメントを投稿しよう!