現実

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現実

カードキーを大切に財布に仕舞うと部屋の掃除を始める。 シーツを変えてベッドメイキングをしていると足元をロボット掃除機が掠めていく。 きちんと障害物をよけてツツツと動いていく姿が可愛くて、ベッドの上でいつまでも見ていられる。自分の部屋では障害物だらけで動かすことが出来ないが、ここなら広いし部屋もいくつかあるから、ごうちゃんもお掃除が楽しそうだ。 ごうちゃんというのは、勝手に名付けてひっそりと呼んでいたりする。 「ごうちゃんおはよう」 ロボット掃除機に挨拶をしてからキッチンに向かい、トーストとコーヒーだけの簡単な朝食をとる。 何時もなら郷さんと一緒に食べるのに、一人で空回りして貴重な時間を潰してしまった。 もっと自分に自信があれば、郷さんに甘えたりとかできるのに。一人で食べる食事は味気ない。 キッチンの掃除をして、ごうちゃんがやってくる姿を見ながら、開けたことのない部屋の前に行く。 いくらなんでも、部屋を勝手に覗くのはよくないよな・・・と、思いつつ誘惑には勝てずゆっくりとドアを開ける。 使っていない部屋ってここだったんだ。 自分のワンルームの部屋が丸々入るくらいの部屋には、何一つおかれることなくがらんとした空間になっていた。
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