現実

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「ここに・・・」 本当は一緒に暮らしたい。 365日郷さんを感じたい、でも郷さんの気持ちがずっと続くわけじゃない。 明日とか、明後日とかに本当は好きな人がいるとか言われたら、部屋を出ていけとか言われたら、行くところもなく途方にくれてしまう。 郷さんを好きすぎて、マイナスな感情しか持てなくて、なんかお笑い芸人の”何とか草薙”みたいだ。 「買い物に行ってこよう」 言葉に出してから玄関に向かった。 お肉コーナーで肉を物色しながらメニューを考える。 レバニラとか目的がバレバレだし・・・ 豚のしょうが焼きとかいいかも! 恋人というか、奥さんみたいだ・・・ 自分で言っておいてなんだか、恥ずかしい。 今朝渡されたカードキーをスキャンする。 ドアを開けると違和感を感じた。 出掛けるときにはなかった シャンパンゴールドのハイヒールが無造作に脱ぎ捨てられている。 廊下の先から「ごう」と言いながら 艶やかな長い黒髪の女性が歩いてくる 郷さんと並んだら、きっとすごくお似合いで誰もが振り返るほどの美人だった。 「誰?ごうの知り合い?」 「いえ、間違えました」 そう言うとカードキーをシューズボックスの上に置くと部屋を出た。
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