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スタンのダイナーでホットドッグとナチョスをバドワイザーで流し込んで、その日は早くに家に戻った。
小さな一軒家で、かなり古いものだった。値段に比例したボロ家だったけれど、住むのが苦痛という訳ではなかった。元住んでいたのは老婆だったという。室内は綺麗にされていた。
デッキに置いた揺り椅子で本を読んでいると、またライフルの音が聞こえた。よそ者が狩られていく。コヨーテ・ドライブは狩った証拠として身体の一部だけでも持って行けば良いという。
何となく自分が銃口に晒されているのを想像した。すぐにその想像は止めた。
日本にいてもずっとよそ者の感覚を持っていた。だからいっそのこと、とこちらに渡って来たのだ。皆親しくしてくれるけれど、やはりぼくは日本人だった。よそ者だった。いつかここで死んだとしても、よそ者として死んでいくのだ。
陽が暮れる間近まで、銃声は続いた。どれぐらいのコヨーテが仕留められたのか。あまり考えたくはなかった。
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